骨の機能と構造
骨は高度な結合組織の形態の一つで、体の骨格を形成、骨格筋によって関節の運動を行い、内臓器官の保護、カルシウムやリンなど電解質の貯蔵、造血機能などの働きがあります
骨は外側から骨膜、皮質骨、海綿骨からなっており、一生骨の形成、吸収、再形成を繰り返しています
骨芽細胞が骨を作り、骨細胞が骨を守り、破骨細胞が骨の解体を行います
この繰り返しも骨に加わる圧力や加わる方向によって、骨量や吸収や添加が行われます(ウォルフの法則)
骨には栄養と共に歩く等の行動で負荷が重要になり、バランスの悪い負荷では骨の変形などが起こりやすくなります
骨折と注意するべき症状
骨折とは「骨組織の連続性が完全または部分的に離断された状態」となります
更にこの骨折が骨が正常又は病的かによっても外傷性骨折、病的骨折に分かれます
柔道整復師として扱う骨折は主に外傷性のものを意味しています
まず骨折が病気の影響、骨粗鬆症などによる骨自体が脆弱になっているか、骨は正常であったが転倒などの原因によって起こったものか
更に急に骨折になったのか?少しずつダメージが蓄積して骨折になったのか?
急な骨折としては転倒や転落などの突発的な原因、交通事故、労働災害、スポーツなどでも起こります
少しずつ骨にダメージが蓄積する骨折では、高齢になっていき姿勢の悪さなどで骨の一部分に強く負荷がかかりやすくなると起こる場合や何度も同じような動きを続ける事で骨に負荷がかかり疲労骨折になる事もあります
骨折かなと思う痛みや腫れ
骨折では固定をする事によって痛みが激減しますが、この時の痛みは骨折によって損傷した箇所が当たったり擦れる事で痛みを生み出します
つまり骨折かな?と思った場所が動いた時に強く痛みが出ている時には動かないように添え木など何でもいいので骨折の可能性がある部分を動かせないようにしてそのまま整形外科へ行きましょう
完全に骨折をしている場合には骨の損傷個所から血液が筋肉よりも多く出てくるため、腫れるスピードが速いのも特徴です
骨折の症状
骨折時には全身の症状が現れる事があります
一つはショック症状で、神経原性ショックや出血性ショックがあります
ショックの症状として顔面蒼白、唇にチアノーゼ、手足が冷たく、全身には冷や汗、脈拍が小さく早くなり、血圧低下、生あくびや気分の悪さ、意識がもうろうとなり、最後に昏睡になります
ショックの症状が出ている場合には、頭を低くして足を高くして安静に、乱暴な取り扱い(体を揺するなど)は厳禁で、冷えも悪化の原因になり毛布などで包み特に手足の保温に努め、救急車を呼びましょう
骨が折れている為、その骨の周囲にある内臓や筋肉、神経や血管を傷つける可能性もあります
骨折後の続発症
外傷性皮下気腫(空気が肺から皮下組織に侵入したもので、肋骨骨折の際に考えられます)
脂肪塞栓症候群(脂肪成分が血管内に入り込むものと考えられており、受傷後1~3日間で大腿骨や骨盤、多発骨折などで起こりやすい、肺血栓や脳血栓になる事もある為注意してください)
他には再骨折や治りが遅い遷延治癒、寝たきりによる褥瘡や深部静脈血栓症、筋萎縮なども考えられます
後遺症として
過剰仮骨形成(骨が治る際には仮骨が形成されますが、この仮骨が作られたままで吸収されなくなっている状態)
偽関節(骨がくっつかずにそのまま治ってしまったもの)変形治癒(骨がずれたまま治ったりしたもの)関節運動障害(長期固定などで関節自体が癒着してしまったものを関節強直といい、関節包、靱帯、筋肉、皮膚などが委縮して関節の癒着が無いが可動域の制限があるものを関節拘縮といいます)
骨折を早く治す条件
骨折を早く治す条件として
若ければ若いほど、骨は治りやすく、高齢になればなるほど骨は治りにくくなります
骨折部が密着しやすく圧迫力がある状態で血行が良く、細菌感染や病気がなく、栄養状態が良いほど骨折が治りやすくなります
逆に骨折部が離れやすく剪断力、屈曲力、牽引力、回転力などがある状態で血行が悪く、細菌感染や病気があり、栄養状態が悪いほど骨折の治りは悪くなります
つまり骨折を早く治す為には、まずは骨折部が安静に密着できなくなるような動作をせずに栄養をちゃんと摂って、骨折部以外は適度に動かす事になります
骨折部が治ってくれば早くリハビリも可能になり後遺症にもなりにくくなります
是非骨折の際には無理せず、安静にして治る環境を作っていきましょう