TFCC損傷とは
手関節にある三角線維軟骨(関節円板)、手関節の尺側側副靱帯、掌側と背側の橈尺靱帯などを尺側側の支持機構として三角線維軟骨複合体として手首尺側の衝撃を吸収するクッションと動きを制御する機能があります
この三角線維軟骨複合体に転倒などによって手を強く衝いたり、手関節から前腕に強いねじれが加わって損傷するものと、手関節の使い過ぎや加齢によって変性していると軽微な外力でも損傷する事があります
つまり手関節に衝撃や捻りが加わる事で、衝撃に耐えきれなかったり可動域以上に動きが大きくなった際にTFCC損傷となる場合があります
症状
TFCC損傷の主な症状には次のようなものがあります
- 手首の痛み:
- 特に小指側の手首の痛みが顕著です
- 回旋動作や手首を捻る動作で痛みが増強します
- 腫れと圧痛:
- 損傷部位周辺の腫れや圧痛が見られます
- 手首の不安定感:
- 手首を動かすときに不安定感やクリック感を感じることがあります
- 握力の低下:
- 痛みや不安定感により、握力が低下することがあります
予防
TFCC損傷の予防策としては、次のようなものがあります
- 適切なウォームアップとストレッチ:
- 手首を使う前には必ずウォームアップを行い、手首のストレッチをすることで柔軟性を高め、損傷リスクを減らしましょう
- 適切なテクニックの習得:
- スポーツや作業において、正しいフォームやテクニックを身につけることが重要です。例えば、ラケットスポーツでは正しいグリップやスイングを学び、過度な負担を避けるようにします
- 筋力強化:
- 前腕や手首周りの筋力を強化することで、手首の安定性を高め、外部からの衝撃に対する抵抗力をつけます
- 適切な保護具の使用:
- 必要に応じて、手首用のサポーターやテーピングを使用することで、手首を保護し、過度な動きを制限します
- 適度な休息:
- 手首に過度な負担をかけないよう、適度な休息を取り、疲労を回復させることが重要です
TFCC(三角線維軟骨複合体)損傷の治療法について
保存療法
TFCC損傷の軽度な場合、まずは保存療法が選択されることが多いです
- 安静:
- 手首を使わないようにし、損傷を治癒させるための休息を取ります。特に、痛みが強い場合は完全に手首を動かさないことが推奨されます
- アイシング:
- 炎症を抑えるために、アイスパックを使用して患部を冷やします。通常、1回20分程度、1日に数回行います
- 圧迫と挙上:
- 手首に包帯やサポーターを巻いて圧迫し、腫れを抑えるとともに、患部を心臓より高い位置に挙げることで腫れを軽減します
- 抗炎症薬の服用:
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などを服用して痛みと炎症を抑えます。医師の指示に従って使用します
- リハビリテーション:
- 痛みが軽減したら、理学療法士の指導の下でリハビリテーションを開始し、手首の可動域を回復させ、筋力を強化します
注射療法
保存療法で症状が改善しない場合や、炎症が強い場合には、以下のような注射療法が行われることがあります
- ステロイド注射:
- 炎症を抑えるために、患部にステロイドを注射します。短期間で炎症を抑える効果があります
- ヒアルロン酸注射:
- 関節の滑らかさを改善し、痛みを軽減するためにヒアルロン酸を注射することがあります
手術療法
保存療法や注射療法で症状が改善しない場合、または重度の損傷がある場合には手術が必要となることがあります。主な手術法は以下の通りです
- 関節鏡視下手術:
- 小さな切開を行い、関節鏡を使用して内部を観察しながら手術を行います。損傷部位を修復するための縫合や、損傷した組織の除去が行われます。
- 開放手術:
- 重度の損傷や関節鏡視下手術では対応できない場合には、開放手術が行われることがあります。これにより、直接損傷部位を修復します。
リハビリとアフターケア
手術後は、以下のようなリハビリとアフターケアが重要です
- 手術後の安静と固定:
- 手術後の一定期間は手首を固定し、安静を保ちます
- 段階的なリハビリテーション:
- 理学療法士の指導の下、段階的にリハビリを進め、手首の可動域と筋力を回復させます
- 長期的なケア:
- 完全な回復には時間がかかるため、医師の指示に従い、長期的なケアを続けることが重要です
症状や重症度によって治療方法が変わってくるため、当院では検査など行ったうえで整形外科への受診を促す事があります
手首の捻挫は筋肉だけでなく、骨や靱帯、腱など様々な軟部組織の損傷が考えられます
何だか段々痛くなってきた手首の痛み、捻ったけど大丈夫かな?と思ったら当院までご相談ください!